カナダ大学院博士課程 出願ブログ

こんにちは。まつうらんどです。今回、カナダのゲルフ大学(University of Guelph)食料・農業・資源経済学科の博士課程(PhD in Food, Agricultural & Resource Economics)に合格した体験についてお話ししたいと思います。
奨学金も大学から上乗せされそうで、かなりいい条件で入学できる予定だったのですが、諸事情により合格を辞退しました。
この合格はひとえに周りの方のサポートなしにはあり得ませんでした。ありがとうございます。また、自分の決意が右往左往して周囲の方に迷惑をかけてしまったのでここでお詫び申し上げます。

まず博士課程受験の時系列

基本情報
26歳、院卒社会人2年目、転職経験あり、関心は農業経済学・開発経済学、査読論文2本(査読付国際誌掲載済み1本、英本への分担執筆1本、その他ワーキングペーパーが2本程)。
北米の博士課程では、基本的に学費と”最低限”の生活費が奨学金・RA・TAなどを通して支給される。
3月
国際学会でゲルフ大学の先生に会う。博士課程と、ゲルフ大学のとある先生に関心があることを伝えたら、取り次いでくださりメールのやり取りを始める。
3月~6月
関心のある先生とやり取りをする。
10月中旬
出願完了。同時にタフツ大学の博士課程(PhD in Economcis and Public Policy)にも出願する。(3月12日の朝に不合格メールが来ました。)
出願完了と同じころに、現所属先の規定で2024年に海外に長期滞在するのが難しいことが発覚。現所属に籍を残しての2024年留学は不可能になり、ほかの海外大学院への出願をここで止める。日本国内の博士課程進学に一旦舵を切る。
1月中旬
日本国内の博士課程の出願を完了する。この時点では、国内の博士に進学するつもりでいた。
1月末
交換留学の成績表も提出してほしいと言われる。
2月初旬
出願していた国内の博士課程の書類選考を通過。3月上旬に面接があるとの連絡。
2月17日
朝に指導教官候補として名前を書いていたゲルフ大学の先生から、学費と生活費をカバーする奨学金付きで合格が出るから公式のメールを待つようにとメールがくる。いざ合格すると、家庭の事情もあり、仕事の折り合いをつけて進学したいと思うようになる。
2月中旬
2024年の海外大学院進学は、諸般の事情によりこの時点では難しいと感じていたので、職場の人事課に2025年に大学院に進学するための休職をしてもよいかと、ゲルフ大学に入学を延ばすことができるかなどの問い合わせを行う。大学院に行くために、素晴らしい環境である現勤務先を辞める予定はない。
2月21日
職場に籍を残しながら留学は2024年または2025年のどちらでも出来そうということが分かる(人事課からのメール)。もしfundingが保障さるならもう1年日本で働いてから渡航したほうが金銭的にも良いかも?
2月22日
合格の正式メールが届く。
2月24日
受け入れ指導教官とズームミーティングをする。自分が置かれている事情を説明する。やはり今年の進学は厳しいかなと思う。2025年に入学したい場合は再度出願するように言われる。
3月1日
日本国内の博士課程の面接審査を受ける。
3月8日
国内の博士課程から合格通知を貰う。ゲルフ大学の奨学金が上乗せされたらゲルフに行くことになるかな?
3月9日~14日
いろいろあった。結局国内で社会人博士を行うことを決意。
3月14日
ゲルフ大学の合格を辞退。
3月27日
辞退した後だけど、University Fellowship(5万ドル!!!)のshortlistに載ったので面接を受けてほしい旨のメールが届くが、こちらも辞退。

大学からのOffer letter。ほかの大学院に合格していてfundingの額を競えるなら教えてくれとメールに書かれている。日本の大学院では基本的にありえない話なので、興味深い。

なぜカナダの大学院に出願したか

なぜゲルフ大学に出願をしたのかについて少し話したいと思う。なぜなら、ゲルフ大学という名前は佐々木麟太郎さんが進学するスタンフォード大学のように有名ではなく、国内の農業経済学界隈でも大して知名度はないと思うからである。
乱雑ではあるが以下に理由を列挙する。これらを満たす農業経済学の博士課程がゲルフ大学しかなかったのでカナダではゲルフ大学しか出願しなかった。逆に、これらを満たしていない大学院ならば日本国内の博士課程に進んだほうが自分の人生にとって良いだろうと考えた。
研究面について=進学先に求めること
自分の専門である農業・開発経済学分野で国際査読付きジャーナルにコンスタントに論文を出している若い先生とベテランの先生が混ざっている。例えば、American Journal of Agricultural EconomicsのAssociate Editorを務めているYu Na Lee先生とTongzhe Li先生、最近Agricultural and Applied Economics AssociationのFellowに選ばれたAlfons Weersink先生など枚挙にいとまがない。つまり、農業経済学分野においては世界のトップクラスの研究機関であるということだ。事実、IDEASの農業経済学科ランキングでは世界で43位である(日本の大学は1つもランクインしていない)。
ミクロ経済学と計量経済学のコースワークが用意されている。
経済学はアメリカが先導しているのでアメリカの学会に参加しやすい場所。
比較的アットホームな雰囲気。
大学院生が多め。
早めに(2~4年以内)学位をとれる環境。
生活面について=住環境に求めたこと
一度英語圏で生活してみたいという漠然とした憧れをずっと持っていた。
かつて、3月のトロントを訪れる機会があり、雰囲気がとても良い街だと思った。ゲルフは人口13万人程度の地方都市であるが、トロントからバスで1時間ほどの距離。
研究に打ち込むならば都市部より落ち着いた都市のほうが良い。
トロントが故郷の札幌と雰囲気が似ていた。そこから予想するにゲルフは函館か旭川くらいの規模間だと予想し、北米の中ではかなり住みよい都市だろうと思った。
アメリカより銃規制が強い。

まとめ

このような経緯でカナダの大学院に出願することを決めた。どのようなキャリアを選べば自分の人生の幸福度が最大化されるかまだ分からないが、研究だけを頑張ればいいわけではない。まずは自分の私生活が安定していることが必要条件である。研究生活は日常生活の部分集合なのだ。
上記のような動機を持って、日本での知名度が低い海外大学院の博士課程を目指す人もいるんだと、軽い気持ちでとらえていただけると幸甚である。
次回の投稿では海外大学院のお金の話について話したいと思います。お楽しみに。

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