(※この記事は2021年、留学直前に書いたnoteを編集したものです。ベースとなる内容は同じですが、留学から帰ってきた今の実感を加筆します)
はじめまして。ようこと申します。夫と、2020年生まれの息子と3人で神戸で暮らしています。普通の主婦ですが、昨年3月まで40代の主婦でありながら留学生としてロンドンに住んでいたことは、普通ではないかもしれません。「旦那さんの海外赴任に帯同されたんですか?」とよく聞かれます。どちらかというと私の海外大学院留学に、夫と息子がなんとか方法を見つけてついてきてくれた形です。このブログでは、そんなアラフォー子連れという、留学界では稀な立場の私が、一見稀すぎて汎用性がないと見せかけて、留学や海外移住を志す方々にニアミスしそうな体験や知見を綴っていきます。
本ブログポータル「プロゴノス」への執筆をご打診いただいた時、他に執筆されている留学ご経験者の皆様の話が高尚すぎて、自分の強烈な場違い加減に冷や汗が出ました。しかし、アラフォー子連れ留学という全体像では似た境遇の方は少ないかもしれないけど、「大学院留学」「社会人留学」「海外子育て」など個別の観点からは、誰かのお役に立てるかもしれないと思って書いて行きます。社会の中で、「留学」というもののとらえ方を広げるきっかけとなれば幸いです。
初回なので私の留学の概要について書きます。
①40代で留学
私は留学した時41歳でした。これまで留学経験はありません。私の周りで40代やそれ以上で留学する人は、
・学者や研究者で海外の研究機関に研究員として招かれた方
・お子さんの教育環境を考慮して海外の進学先を選び、お子さんの留学に帯同してご自身も現地で勉強されている方
・早期リタイアなどで仕事から解放されて、夢だった海外生活のステップとして語学留学などで在留資格を取る方
これらのいずれかの場合がほとんどです。私は上記どれでもなく、強いていうなら最近話題のリスキリングを自らに課して、キャリアの真っ只中で海外×学び直しに傾倒している身です。とは言いつつ、「さらなる」高みを目指せるほどこれまでキャリアを積み重ねてきたかと言われるとそうでもなく、スキルもありません。他方、ゼロからのスタートなのかと言われると全くそうではなく、高校生の頃から憧れていた留学を中年になってようやく叶えている、いわば「遅すぎる人生の春」、それが私の留学の別名です。夫にも「こういうことは28歳くらいまでにしておくべきことだったんじゃないか?」と何度も諭され夢をぶち壊されそうになりましたが、その度に「私は留学するために今まで生きてきたので、留学できないなら今死ぬ」と反撃してどうにかチャンスを掴みました(結婚して子供のいる日本の女性が、家族の生活に大きな変化を要する活動に踏み出そうとすると、必ず何か一つは壁にぶち当たるものではないでしょうか。私のぶち当たった壁については改めて書きます)。
また、40代は多くの人にとって、キャリアが充実してくる時期でしょう。そのようなタイミングで学びのため仕事を離れて、大丈夫なの?とよく聞かれますが、割と余計なお世話だと思って適当に流しています。正直言って大丈夫じゃないです。むしろただ留学して学位を得るだけでは、もはや転職等にも活かせないというのが日本の40代、特に女性を取りまく労働環境の実情だと思います。現にいま仕事探しに迷走しています。では、留学なんてやめておけばよかったと思うか、と言われたらそうは全く思いません。「留学できないなら今死ぬ」というくらい、私は海外で勉強するというなかなか実現できない夢にすがって生きてきたので、キャリアや生涯収入の面でマイナスになるから、と諦められるようなことではありませんでした。
②子連れ留学
子連れで留学する女性は増えてきていますが、とても少ないです。日本人の女性として少ないだけでなく、留学先であらゆる国から来た方を見渡して、とても少なかったです。当時1歳半の息子を連れて行きました。「子連れで行く」というと「私の留学先にも学期中に子供産んだ人いるよ」とさらにハードルの高いことをしている人の例をあげて励ましてくれる友人がいて、勇気づけられました。
ちなみに「親子留学」や「教育移住」のことを聞かれることも多いのですが、私の留学はあくまで私の勉強のための海外渡航であり、息子により望ましい教育環境を与えたい、という意図は全くなく、「親子留学」や「教育移住」ではありません。でも、結果として子どもの保育園のことなど、小さいお子さんがいたら避けては通れない話で非常によくお問い合わせを受けるので、その点については、おいおい書いていきたいと思います。
③一家で留学
私の留学が、子連れだったこと以上にレアだったのは、夫がついてきてくれたことです。旦那さんが自営業など自分の職務の決定権を持っているのでない限り、休職・退職でもしないと帯同してもらうことは難しいでしょう。我が家の場合は、夫は研究者なので、勤務先の大学からサバティカルをもらって研究のために渡航しました。この一面で言うと、どちらかと言うとついて行ったのは私ともいえます。サバティカルは会社勤めの場合にはほとんどない制度なので、恵まれていたと思いますが、とはいえ、いつでも好きな時にサバティカルを取れるわけではなく、何年も前から選考に応募するなど、数年単位で周到に準備する必要があります。夫のサバティカル取得に合わせて私も海外の大学院に進学できるよう準備も歩調を合わせる必要があり、苦労しました。
④大学院に進学
大学院で留学すること自体は、さほど特殊ではありませんよね。専門的な勉強や研究をしようと思ったら、その分野の先進的な研究者や機関が外国にあるならば、そちらに進むのは自然なことです。私はMA, Cultural Policy, Relations and Diplomacyという、文化政策と外交の境界線上にある領域横断的な分野の勉強を志しているのですが、文化政策も、外交も日本の多くの大学で専攻できるものの、文化外交に特化した専攻をおく大学は世界でも珍しいため、いくことにしました。
⑤留学先:イギリス、ロンドン
イギリスは人気の留学先なので、これも珍しいことではありません。さまざまな分野において、世界でも先進的な研究をしている機関が多いイギリス。長い歴史に培われた独自の文化もさることながら、日本だけでなく世界中から学生が集まってくる多様性に富んだ環境も魅力です。英語圏であること、修士課程が1年で修了できること(通常他国は2年)もイギリスを選んだ理由のひとつです。
⑥留学期間:半年
これは。。自分でも不本意ですが、26年間憧れてきた留学、というか海外での長期滞在が半年に。「家族全員で現地に行くこと」「学位を取ること」「これ以上先延ばしにしないこと」を最優先に考えた結果、夫の仕事の都合にあわせ、半年間で切り上げて帰ることになりました。他国では無理だったでしょうが、もともと修士課程が1年間のイギリス。さらに指導教授に交渉し、秋学期(9月〜)と春学期(1月〜)は現地で受講し、夏学期(4月〜9月)は修論指導のみ残して、オンラインで指導いただくことを許可してもらいました。
以上ざっと概要を書きましたが、まとめると「アラフォー女子が、一家でロンドンに6ヶ月だけ移住し、修士号を取得する」話です。すいません、おばさんなのに女子とか言って笑。何卒よろしくお願いします。